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CANON EF-S 18-55mm USM レンズ アパーチャー ケーブル交換 修理メモ  (2021年 5月21日 記)

  CANON 一眼レフのレンズ(EF-S 18-55mm USM)の短ZOOM側でカメラシステムエラーが起きた。
  症状は、ZOOMを18~35mmにした時にだけ、シャッターを押した後にだけ発生する。
  アラーが起こるZOO範囲ではマニュアルでアパーチャーを絞ってみても反応しない。
  アパーチャケーブルが部分断線を起こしているらしい。
  長期間使用した古いレンズなので代替え品を購入したが、Internet shop(Amazon)で
  交換用フラットケーブルが安価(370円)で、販売されていたので修理を試みた。

  故障の原因は、アパーチャ制御用 フレキシブル ケーブル(FPC)が、
  繰り返し曲げられたことによる疲労断線である。
  交換したら、完全に復帰した。
  しかし、その後の分解で、フォーカスに迷い減少が発生するようになった。その原因はおそらく、
  内部のケーブルコネクタの接触不良と推定している。


  レンズ  EF-S 18-55mm USM の外観   (USM: 超音波モータ)
   
   


MEMO

1.分解(組み立て)手順メモ
 ・ レンズは以下の手順で分解しました。各写真をクリックすると拡大されます。
   組み立ては逆の手順で行います。


初期状態 マウント外し  PCB保護リング フラットケーブル PCB外す
端子盤固定ネジ 2本
マウント固定ネジ 4本
を外す
マウントを外します。 PCB保護の
プラスチックリングを
取り除く (固定なし)
コネクタからケーブル
を外す (4本)
CBを持ち上げ外す
ZOOMリングゴムは
外してあります
2本のネジを外して
PCBを外す

PCB裏面 PCB除去後 USM部分 ZOOMリング ブラシ位置測定
裏にZOOMエンコーダ
がある ブラシが接触
ブラシとUSMウニット
が見える
右側絞制御用FPCに
注目 フォーカス∞
同、フォーカス最近
FFCが折れている
ZOOMエンコーダの
ブラシ位置測定 3mm

ZOOMブラシ USMユニット外す USMユニット USMユニット アパーチャ線固定具
エンコーダ ブラシの
取付台下部は後玉の
フォーカス駆動棒機能
USMを外す ネジ2本
左下シャフトはフォー
カス機構とリンク
USM側 減速ギヤを介して
左のドライブシャフト
を回転させる
金具を外す
ネジ2本

フォーカスブラシ アパーチャ線固定具 前後レンズ接続ネジ 後半レンズ部分 後半レンズ後ろ側
接点1本が反対向き
だが、第1接点と同
じレーンをトレース
金具を外す
ネジ2本
鏡胴下部の前後玉 接
続ネジ 3本外す
事前に偏心リングの
向きを印付すること
鏡胴側部ネジ2本で
絞りのガイドレールを
外しながら レンズ分離
3本足がガイドレール
に入っている
後玉 取扱注意

 後半レンズ 前側 アパーチャ制御線 臨時作業台-1 絞りユニットを外す 外した絞りユニット
前側にもレンズ 注意 FPCケーブルは
前ブロックに接続
テープケースがレンズ
保護にぴったり
絞りユニットを外す
ネジ3本
摺動の小レンズを
2本ネジで外す

絞りユニット ユニットのケーブル  臨時作業台-2 外した絞り制御FPC 新FPC
FPCの先端はハンダ
付け。 レンズに注意
FPCは金具に
接着加工してある
テープケースがレンズ
保護にぴったり
癖で曲がっている
完全切断は無かった
購入した新しいFPC
新旧18-55mmに適合

ハンダ付け完了 ハンダ付け完了  絞りの機構 絞りFPC曲がり-1 絞りFPC曲がり-2
FPCハンダ付け完了 FPCハンダ付け完了 6枚羽(?)の絞り 絞りカムをガイドにあ
わせながら組み立て
FPC金具を固定
近距離側のFPC曲り
遠距離側のFPC
曲がりの様子

ZOOM FPC曲がり1 ZOOM FPC曲がり2  ZOOM FPC曲がり3
ピントエンコーダの
FPC曲がり様子 長側
同 中程度の長さ 同 短側の様子


・ 交換したアパーチャー制御用フレキシブルフラットケーブル(FPC) 外観
 
   
   Amazon で 販売している。 純正部品ではない中国製。
   価格は 370円(中国から 送料無料) 
   部品としては、決して悪くない。

2.エラーの原因
・ アパーチャーのFFCケーブルが、度重なる曲げに耐えきれずに折れてしまったのが原因である。
  曲げると接続が切れ、伸びると接読される故障モードであった。
・ 構造上今後の使用で焦点距離のエンコーダーも同じように断線することがあるかもしれない。

3.その他の問題
・ 修理中に、PCBとFPCを接続するコネクタ部分で問題が発生した。
  FPCのコネクタ先端の電極部分に、接続面の背面にケーブル全体の厚さが0.3mmになるように
  小さなプラスチックの補強板が貼ってある。
  コネクタへの装着を何度か繰り返しているうちに、補強板を貼ってあり糊がはみ出してFPC表裏を汚し、
  さらに、その補強板がずれるようになり、PCBをスムーズにコネクタに装着できなくなった。
  何とか取り付けたとしても、電気的接続状態が不安定になった。コネクタの各ピンの接続を確認するのは困難である。
  組み立て方の方針を変更。FPCに補助板を接着している構造は諦めて完全に分離することにした。
  剥がした補強板とFPCの両面についた糊はていねいにアルコール(IPA)で拭き取った。
  コネクタへの装着するときは、まずFPCをコネクタの定位置まで差し込んで、その後、
  補強板をFPCの背面側に沿わせてコネクタに差し込みコネクタのロックを掛けた(ロックを押し込んだ)。
  この方法でコネクタ接続は問題がなくなった。  (^_^)

3.結果
・ ケーブル交換後、逆の順番でレンズを組み立てて、カメラに装着して試験した。
 ZOOMの短焦点長側でカメラエラーは出なくなった。
 また、フォーカスも迷いもなく瞬時に決まることを確認できて、修理完了である。


<あとがき>

数日かけて修理を完了したが、このメモをまとめている段階でFPCの曲がりの方向が気になり始めたので
 再分解して確認したが、これがアダとなってフォーカスに迷い(Focus Hunting)が出るようになってしまった。
 → おそらくフォーカス エンコーダのコネクターの接触不良と思われる。時期を見て再度トライをしようと考えている

<追記>  2021.5.22
・ Forcus Hunting の原因は、PCB基板裏面にあるZOOMエンコーダの接触ブラシの位置ずれであった。
 鏡筒内側から一番近いブラシまでの距離、3.1mm の値を、ブラシ側端からの距離と記憶違いをしていて
 分解時の写真の通り、このブラシの二つの接点の中間までの距離を3.1mmにしてネジを締め直したら問題が解消した。
 (^_^)

<参考> 
   フォーカス エンコーダの接点パターン (ブラシが当たる位置を目で読み取ったもの)
   



とにかく、直りました。。。

メデタシめでたし (^_^)